あらすじ
「お前は、私の娘ではない」
十八年前、王は生まれたばかりの娘にそう言った。
その日、王女は死んだことになった。
――そして十八年後。
王都の片隅で孤児として育った少女、リゼは、ある日突然、王宮へ呼び出される。
銀色の髪。
黒い瞳。
王家に多い黄金の瞳とは、明らかに違う。
自分がなぜ王宮に呼ばれたのかも分からないリゼを待っていたのは、現在の王妃と、王位継承者たちだった。
「十八年前、王女が生まれたことを知っているか?」
そう問われた瞬間から、リゼの日常は崩れ始める。
死んだはずの王女。
存在しないはずの出生記録。
証言の食い違う侍女。
そして、十八年前の事件を調べ続けていた王子アレクシス。
なぜ王妃は、リゼの姿を見て動揺したのか。
なぜ王子は、彼女の出生を調べるのか。
そして、なぜ国王は十八年前と同じ言葉を、もう一度リゼに告げるのか。
「お前は、私の娘ではない」
これは、本当の王女を探す物語ではない。
誰を王族とし、誰を存在しなかったことにするのか。
王家が守り続けてきた「正しい歴史」とは、一体誰のためのものだったのか。
一人の少女が王宮に戻ったことで、十八年前に葬られた秘密が、再び動き始める。
そしてやがて、その秘密は一人の王女だけではなく――王国そのものを揺るがしていく。