あらすじ
十一歳のリリィ・アークライトは、魔法が使えない「役立たず」として伯爵家を追放され、危険な森へ捨てられてしまう。けれど彼女には、前世で看護師として働き、栄養について学んだ記憶があった。森で出会ったのは、呪われ傷ついた銀狼、翼を焼かれた翼竜、そして食事をまったく口にしない不思議なスライム。リリィは衛生、食事、休養、観察を重ね、一匹ずつに必要な世話をしていく。やがて魔物たちは健康と力を取り戻し、リリィを守る「家族」になっていく。一方、彼女を失った伯爵家は管理不全によって自滅していく。だがリリィは復讐を選ばない。治せる命には手を尽くし、治せない命には寄り添い、自分自身も犠牲にしない。傷ついた魔物もアンデッドも、人間さえも安心して休める森で、十一歳の少女は誰かを支配する主人ではなく、みんなの「保護者」になっていく。