あらすじ
「余命、一年です」
医務官から余命を告げられた伯爵令嬢クララ。
悲しむ暇はない。
一年後に自分が死ぬのなら、その前に全部片づけておかなければ。
まずは婚約者のロレンツォ。
彼が愛しているのは私ではなく、義妹のセリーナだ。
それなら、どうぞセリーナに差し上げます。
ついでに、二人が進めている事業計画も見直しましょう。
このままでは家の財産を食いつぶしてしまいますから。
ところが――。
「おまえは全然わかっていない!」
「侮辱よ! 言いつけてやる!」
「どうして、セリーナを虐めるの?」
誰も私の話を聞いてくれない。
けれど私は知っている。
書類の数字がおかしいことも。
事業計画が破綻寸前なことも。
使用人が私の薬を抜いていることも。
そして、家族が私の死を待ち望んでいることも。
いいでしょう。
私が死んだあとに困らないように、全部整理して差し上げます。
――ただし、私の死を前提にしたあなたたちの未来が、無事に残るとは限りませんけれど。
ハッピーエンド短編です。