あらすじ

運ばないと、家が傾く。  この町では、子が生まれると毎朝ひとつ、土間に石が据わる。その日のうちに荷置き場まで運び出せば済む話だ。誰が運んでもいい。運ばなければ溜まって、家は傾く。傾きは、外からよく見える。  軒下の枡も見える。その家の人の内側が荒れていると、水位が上がる。本人にも止められない。  枡守(ますもり)の澪(みお)は二十年、朝と夕に町を見て回っている。  傾いだ家。満ちた枡。運ばない夫。笑いながら文句を言う妻。余計な口を出す年寄り。  どうにもできないことばかりだ。それでも澪は、誰にも出さない帳面の余白に書きつけている。今朝は誰が運んだ、今朝は誰が運ばなかった、と。  しんどい話ばかりのようで、たいていの家は、なんだかんだ続いている。  一話完結の連作。夫婦と、その周りの人たちの話です。

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カクヨム
カクヨム2026/09/11
  • 現在の作品帳面の余白―枡守澪の見回り―