あらすじ
「ミア、逃げろ!」
十年前、世界で一番勇敢だった兄は、そう叫んで死んだ。
だから私は兄の遺言を、十年間、本気で守り続けた。
魔物を見たら逃げる。勝てそうでも逃げる。
冒険者ギルドでの評価は万年最低のFランク。二つ名は《ビビリのミア》。
腰に差した兄の形見の剣は、一度も抜いたことがない。
――だけど。
私が参加した遠征での死者は、七年間で『ゼロ』。
そんなある日、王都に魔王軍が電撃襲来。
飛び交う飛行魔獣、砕かれる大結界。
混乱する軍が出した命令は、最悪の「九万八千人の籠城」だった。
このまま閉じ籠もったら、全員死ぬ。
「戦わなくていい! 英雄になるな! 今日は全員、腰抜けになれ!」
みっともなくて何が悪い。生き残った奴が勝ちだ。
剣を抜かない少女が、王都の裏道と卑怯な知恵だけで九万八千人を連れて逃げ切るお話。
※約6,000字・一気読み推奨の短編です。
※読後感すっきり、爽快ハッピーエンド。