あらすじ

私が蒼海市の桐生家に嫁ぐと決まってから、両親は早々に式用の服を揃えた。母は披露宴のマナーまで調べ、父を相手に何度も確認していた。 ところが空港に着き、迎えの車に乗ったところで、桐生家のスタッフから携帯電話を預けてほしいと言われた。重要な招待客が多いため、別邸での受付が済むまでは一時的に預かる決まりらしい。 招待客を泊める別邸に着き、玄関を入ったところで足が止まった。 両親のために用意されていたはずの席に、美晴の両親が座っていた。 二人は一か月も前から蒼海市に呼ばれていたらしく、桐生家の親族と楽しそうに写真を撮っていた。手には当然のようにスマホがある。 母がそっとスカートの裾をつまんだ。 「美緒。私たちは、どこに座ればいいの?」 広間の向こうへ目をやると、恭介が美晴のドレスの裾を直していた。 そのまま廊下の奥へ行き、御堂司に電話をかけた。 「司。私、明日の三時に結婚する」 二秒ほどして、司が答えた。 「このタイミングで電話してくるってことは、何かあった?」 ガラス扉の向こうにいる二人を見ながら答えた。 「花嫁をさらいに来て。ここから連れ出してほしい」 司が小さく笑った。 「住所送って。三時までには着く」 「遅れないで」

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小説を読もう2026/09/11
  • 現在の作品私の両親は物置部屋、秘書の両親は主賓席――そんな婚約者との結婚をやめました