あらすじ
王立裁判所の若き天才判事であり、ヴァルディエ公爵家の嫡男であるジュリアン・フォン・ヴァルディエ。
彼には、社交界で「若き白百合」と称される完璧で可憐なグランヴェル公爵令嬢の婚約者・エレノアがいた。
エレノアは高位貴族としての淑女教育を完璧に叩き込まれ、名家に嫁ぐ貴族令嬢としての運命を受け入れていたが、ジュリアンから贈られた婚約指輪と甘い口づけに胸を躍らせつつも、彼の眼差しが自分という人間ではなく「隣に立つに相応しい完璧な飾り物」に向けられていることに、どこか醒めた虚しさを抱いていた。
一方、地方の貧しい港町から自らの努力と頭脳だけで最高学府を卒業し、王立裁判所の正規事務員となった平民のミレーヌ。
彼女は自立した一人の人間として働きながらも、雲の上の存在である上司・ジュリアンに密かな憧れを抱いていた。