あらすじ

もう、次の約束を待つのはやめよう。 王立産院の治癒師エリサは、そう決めた。 結婚七年目の夫へ、離婚を申し立てた。 夫のアルノーに愛人はいない。 彼はただ、仕事を優先し続けてきた。 エリサの痛みも、話し合いも、いつも後回しだった。 離婚申立書を出したその日。 生まれたばかりの王女が、産院へ運び込まれる。 その身体には、見たこともない黒い紋が広がっていた。 治療しようとした者には、苦痛が逆流する。 エリサ一人でも、アルノー一人でも耐えられない。 二人の婚姻紋を繋いだ時だけ、赤子の呼吸は戻った。 この国では、治癒師の夫婦だけが使える共有治癒がある。 痛みと魔力の負担を、夫婦の間で分ける魔法だ。 そして今、王女を診られるのは二人しかいない。 けれどエリサは、離婚を取り下げるつもりはない。 患者を救うことと、誰の妻でいるかは別だからだ。 そんな彼女の前で、王女の黒い紋は再び動き始める。 離婚まで残された時間は、わずかしかない。 夫婦でなくなろうとする二人は、夫婦でしか救えない命を前に、何を選ぶのだろう。

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小説を読もう2026/09/11
  • 現在の作品離婚を申し立てた日に、夫婦でしか救えない赤子を任されました