あらすじ
魔王を追い詰めたのは、勇者ではなく、終わらない書類仕事だった。
領地争いの仲裁、食糧不足への対策、部下が起こした不祥事の後始末。
誰もが恐れる魔王ゼロ・アルフレッドは、今日も机に積まれた書類の向こうに朝日を見ていた。
「……もう魔王、やめたい」
欲しいのは世界の半分でも、人類の服従でもない。
好きな時間に起きて、温かいご飯を食べて、眠くなったら昼寝をする。
そんな、ごく普通の暮らしだ。
ついに後継者へ魔王の座を譲ったゼロは、素顔を隠していた仮面を外し、人間の青年レオンとして旅に出る。
そこで見つけた、新たな目標は——まさかの勇者。
認定条件は、S級指定魔物を十体討伐すること。
人間たちにとっては命懸けの偉業だが、元魔王にとっては、山積みの書類と格闘するよりずっと気楽な仕事だった。
ところが、気ままな旅の途中で人を助け、魔物を倒しているうちに、行く先々で噂が広まってしまう。
「俺はただ、ゆっくり暮らしたいだけなんだけど……」
頼られれば断れず、困っている人がいれば放っておけない。
そんなお人好しの元魔王のもとには、今日も誰かが助けを求めてやってくる。
これは、休みたい魔王が仲間とともに自由を満喫しながら、うっかり人間たちの英雄になっていく物語。