あらすじ
--- この世界について ---
剣がある。魔法がある。魔獣がいる。魔王もいる。
水道も電気もガスもカラオケもない。
夜の明かりは暖炉と松明。魔獣の油から作る上等なろうそく。人々は太陽とともに起き、太陽が沈めば眠る。
文明や暮らしぶりは、二条の目には中世ヨーロッパに近く映る。
もちろん、本物の中世ヨーロッパを知っているわけではない。だいたい本と映画とゲームで得た知識である。
そんな世界の片隅。
三か月も雨が降らず、税として食料も家畜も取り上げられた小さな村に、一人の日本人が現れる。
彼は勇者ではない。賢者でもない。
会社では「二条君」と呼ばれていた、ごく普通の山好きである。
ただし、背負っていた四十五リットルのバックパックから、国家を作りたがる黒い花が咲いた。
これは、国王になる気など一切なかった男と、国を作る気だけは満々だった黒花が、滅びかけた土地で始める建国騒動記である。
なお、建国後の国家予算はない。