あらすじ
後宮に仕える毒見役・蘇桂花は、ある夜、覚えのない毒によってあっけなく命を落とした。舐めてきた毒はそれこそ星の数ほどあるのに、最後の最後まで正体の分からなかった毒――それが桂花の、最初で最後の敗北だった。
目を覚ませば、十数年前の山あいの村。まだ十にもならない、薬草摘みの小娘の姿に戻っていた。
――今度こそ、地味に。目立たず、望まれず、ただ薬草とともに生きる。
そう固く誓ったはずなのに、運命は煎じ薬より苦く、桂花自身の見立てより性質が悪かった。隠したい実力ほど目立ち、逃げたい評判ほど追いかけてくる。気づけば桂花は、凰嵐国の後宮からの召し出しを断れないまま、再び薬箱を抱えて宮廷への道を歩んでいた。
今度は、盛られる側ではない。暴く側だ。
食えない宮廷医・珂月とともに、二度目の桂花が贈る、後宮医療ミステリー。