あらすじ
子どもを守るため、自らの命を投げ出した保育士・ナキ。
死後、神から告げられたのは、異世界で苦しむ子どもたちを救ってほしいという願いだった。
こうして異世界へ転生したナキは、森の中で奴隷商人に囮として捨てられた五歳の少年・レンと出会う。
「怖かったね。もう大丈夫だよ。僕がいるからね」
戦う力を持ちながらも、ナキが最初にレンへ与えたものは剣でも魔法でもなかった。
温かい食事。
安心して眠れる場所。
そして、頑張った子どもにかける「よく頑張ったね」という言葉。
村外れの古びた教会を住処にした二人は、少しずつ新しい生活を始める。
しかし、教会の近くにはゴブリンの巣があった。
子どもが眠る場所に魔物がいる。
それを知ったナキは、元・保育士としての安全確認を開始する。
「……それは、ダメだろ」
夜の森へ向かうナキ。
その背中を、レンはこっそり追いかける。
そしてレンが目にしたのは、普段の優しい「おにいさん」とはまるで違うナキの姿だった。
鉄パイプ一本を手に、襲い来るゴブリンたちを圧倒する男。
「俺の前で、子どもに手ぇ出してみろ」
それは、子どもを守るためなら誰よりも強くなれる男の姿だった。
やがてナキは知らない。
この夜の出来事が、レンの人生を大きく変えることになることを。
「……俺も、強くなりたい」
これは、子どもを守ることしか知らなかった一人の保育士と、
彼に救われた少年が紡ぐ、異世界子育てファンタジー。
剣も魔法も知らない保育士が、
「子どもを守る」というたった一つの信念を武器に、
異世界で新しい居場所を作っていく物語。