あらすじ
璟国の後宮、その片隅にある膳所(ぜんしょ)で働く下級女官・小梅(メイメイ)の仕事は、妃嬪たちの食事の「毒見」――つまり、誰よりも先に美味しいものを食べることである。毒草と薬膳の知識だけが取り柄の腹ぺこ少女は、ある日気づいてしまった。最上位の妃・翡翠妃の御膳だけが、三十日連続で一口も減らずに戻ってくる。おまけに残された粥には、二つの「混ぜ物」があった。ひとつは舌を痺れさせる猛毒・附子。もうひとつは、その毒を消すための甘草の甘み。――つまり誰かが妃を殺そうとしていて、誰かがそれを必死に止めている。真相を知る妃本人は、夜の膳所に忍び込んできた小梅にこう告げた。「あなたの舌、貸しなさい。私はもう、自分の舌を信じられないの」。食欲全開の毒見役と、食べられない妃。ふたりの腹ぺこ(意味が違う)が、後宮最大の陰謀を喰い破る、薬膳ミステリ。