あらすじ
神様たちが、またやらかした。
本来ひとりだけのはずだった「誤って転生させてしまった人物」は、調べてみればひとりではない。
しかも、当の本人たちはそれぞれ別の世界で、すでに自分の人生を生きていた。
そこで後始末を任されたのが、転生者観察官ノルン。
彼女の仕事は、転生者を救うこと――ではない。
困っているからと勝手に人生へ介入せず、危険があるからと選択肢を奪わず、本人が何を望んでいるのかを見守りながら、必要な時だけ手を差し伸べること。
公爵令嬢として生きる少女。
長い年月、謝ることすらできずに見守り続けてきた存在。
会うかどうかを決められない者。
知りたいけれど、会いたいとは限らない者。
そして、過去の観察制度に残された不可解な記録。
「待つ」とは何か。
「会いたい」と伝えることは優しさなのか。
名前を呼ぶことは、相手を見つけることなのか――それとも、縛ることなのか。
正解のない問いばかりが増えていく中、ノルン自身もまた、仕事だけではない自分の生活を少しずつ取り戻していく。
これは、転生者の人生を代わりに決めない観察官が、神様たちの後始末に振り回されながら、
「見守ること」と「何もしないこと」の違いを探していく物語。
今日もノルンの苦労は、たぶん終わらない。