あらすじ
人生に後悔を残した男、神田俊。
「どうせ死ぬなら……もう一度、人生をやり直したい」
そんな願いを抱えたまま人生を終えた俊が、次に目を覚ますと――そこは、見覚えのある子ども部屋だった。
鏡に映っていたのは、10歳の頃の自分。
しかも、前の人生の記憶がすべて残っている。
「……俺、転生したのか?」
喜びと戸惑いの中、俊は二度目の人生を始める。
しかし、何かがおかしい。
家族も、学校も、街も知っている。
なのに、前の人生とは微妙に違っている。
そして父親が口にした、昔と同じ言葉。
「まあ、人生なんて思い通りにはいかないからな」
――だが、その先に続くはずだった言葉を、父親は言わなかった。
さらに母親の様子にも、俊は奇妙な違和感を覚える。
そして帰り道。
俊が古い木箱に触れた瞬間――
知らない男の記憶が、頭の中に流れ込んでくる。
そこに残されていたのは、
「この家だけは……絶対に守る」
という、強烈な想いだった。
俊はまだ知らない。
物には、人間の「想い」が残ること。
そして――
自分自身が、ただ転生しただけではないことを。
その夜。
母親が俊の部屋を出たあと、静かに呟く。
「……やっぱり、覚えてるのね」
――二周目の人生が、動き始める。