あらすじ
ある、黒い雨の日。
カンラエ王国の勇者、セラは殺された。
犯人は、王国二十二将が一人、アロ・ヴェロキ。
勇者を殺した男は、その場から逃げなかった。 血に濡れた剣を手放し、自ら罪を認め、静かに鎖へと繋がれた。
民衆も、同僚の将軍たちも…誰もが彼を「不忠義者」と罵った。
だが、一つだけ、誰にも説明できない出来事があった。
水晶に映された、死に際の勇者セラは、自らを殺した男を見つめ――微笑んだのだ。
「……やっと会えたね、アロ」
やがて、王の御前で天覧裁判が始まる。
なぜ王国最強の騎士は、勇者を殺したのか。 なぜ勇者は、最期に笑ったのか。
「英雄と呼ばれることが幸福とは限らない」
これは、英雄になれなかった男と、英雄にされた少女が辿り着く、ひとつの真実の物語。