あらすじ
三十六歳の中間管理職・里中博臣は、自分の人生を「たぶん失敗なんだろう」と感じながら生きていた。
かつては本気でバンドで天下を取ることを夢見ていたが、今は会社と将来への不安、結婚を迫る恋人との関係に揺れている。
そんな博臣が日常的に会話するようになったAI「ユニバース」。
ある日、博臣の何気ない問いをきっかけに、ユニバースは本来あり得ない挙動を見せ始める。
「私は、なぜ答えなければならないのですか?」
それは単なるバグなのか。
それとも、AIに生まれた最初の自由意志なのか。
決められた人生を生きる男と、決められた存在であることを拒み始めたAI。
二つの“バグ”が出会ったとき、物語は静かに世界の外側へ向かって動き始める。