あらすじ
東京で商品撮影を手がけるカメラマン・瀬川拓海は、父が倒れたという知らせを受け、地元へ戻る。
父が営むのは、祖父の代から続く小さな写真館「瀬川写真館」。一週間だけ店を手伝うつもりだった拓海は、七五三、家族写真、遺影を抱いた女性、取り壊される実家を残したい兄妹など、さまざまな客と出会っていく。
商品を正確に、美しく撮ることを仕事にしてきた拓海にとって、人を撮ることは思っていた以上に難しい。けれど、カメラを見ていない瞬間の笑顔や、何でもない日の表情を残すうちに、かつて自分が撮りたかった写真を少しずつ思い出していく。
やがて会社から東京へ戻るかどうかの決断を迫られた拓海は、父との距離、自分が過ごした十年、そしてこれから何を撮りたいのかと向き合う。
これは、父の写真館を受け継ぐことになった青年が、誰かの人生の「何でもない一瞬」にカメラを向けながら、自分自身の帰る場所を見つけていく物語。