あらすじ
ユラス=アルバーナ、十八歳。
各地を旅して歌い、美女を見かければ口説き、金がなくなれば酒場でリュートを奏でる。そんな自由気ままな吟遊詩人である。
彼の取り柄は、平均程度の魔力を徹底的に速度へ特化させた異国の魔法。そして、少々の危険なら美女のために首を突っ込んでしまう性格だった。
大国アルヴェリア王国を訪れたユラスは、街道で襲撃された王女フレリア=ロックハートと遭遇する。
助けようと思って駆けつけた彼が見たのは、圧倒的な魔力ですべてを焼き払った王女の姿だった。
しかもフレリアは助けに来たユラスまで敵と疑い、容赦なく攻撃してくる。
――とんでもなく危険な女だ。
そう思った。
それでも、美しかったからもっと話してみたいと思った。
その出会いをきっかけに、ユラスの周囲には少し変わった少女たちが集まり始める。
強大な力ゆえに人から恐れられ、普通の世界を知らなかった王女フレリア。
家族を養うため、自慢の規格外魔法で働く「みんなのお姉ちゃん」メイプル。
自由を求めて故郷を飛び出しながら、自らユラスという不自由を選んでいく転移魔法使いミセス。
姿を消し、他人になりすまし、復讐のために生きてきた少女スケルス。
ユラスは彼女たちを救う英雄ではない。
ただ話を聞き、一緒に歩き、ときには逃げ、そして本人が選んだ道を尊重する。
これは、自由を愛する女好きの吟遊詩人と、人との関わり方をうまく知らなかった少女たちが、それぞれの距離で誰かと生きることを覚えていく物語。