あらすじ
「お母さんの肉の匂いがした。……私は今日から、男のガキになる」
爆撃音と悲鳴が響き渡る、シリア・アレッポの血の海。
目の前で母親を惨殺された八歳の少女レイラは、生き残るためにその髪を切り落とし、血と泥を顔に塗りたくった。少女の名を捨て、少年「ザイド」の皮を被って——。
彼女の頭の中にあったのは、【前世の日本の大人としての記憶】。
合理的な生存知識、冷徹な危機管理、そして容赦なき戦火の現実。泥まみれの生ジャガイモを貪り、同じく親を失った幼い孤児・アハマドの手を握りしめ、二人は死肉の舞う街から脱出を図る。