あらすじ
天城レイには、人の感情がよく分からない。
なぜ人は、いつか死ぬと分かっている誰かを愛するのか。
なぜ失えば苦しむのに、それでも誰かを大切にするのか。
恋も、嫉妬も、孤独も、悲しみもレイにとっては理解できないものばかりだった。
そんな彼は最近、奇妙な夢を見る。
星々を見下ろす場所。
生まれては消えていく無数の命。
そして、自分を何者かとして呼ぶ謎の声。
ただの夢だと思っていた。
しかしある日を境に、世界で異変が起こり始める。
存在しなかったはずの道。
死んだはずなのに、何事もなかったように生きている人間。
そして毎日、午後六時十二分に訪れる三秒間の世界停止。
誰もその異常に気づかない。
レイを除いて。
やがて彼は、見知らぬ少女と出会う。
初めて会ったはずなのに、少女はレイの姿を見るなり涙を流した。
そして、こう告げる。
「やっと見つけました、神様」
失われた記憶。
崩れ始めた世界。
そして、人間になって初めて知っていく感情。
これは、人の心を知らなかった少年が、誰かを愛することを知るまでの物語。
そしていつか
世界か、たった一人の大切な人か。
そのどちらかを選ばなければならなくなる物語。