あらすじ
ベルフォード商会の令嬢、エレノア・ベルフォード。
商人の家に生まれ、幼い頃から父の仕事を見て育った彼女は、数字にも商売にも、人の心にも聡い女性だった。
そんな彼女に舞い込んだのは、由緒あるレインハルト伯爵家からの縁談。
「君がいてくれるなら、心強い」
そう言ってくれた彼を、エレノアは信じた。
彼を支え、妻として尽くせば、きっと幸せな家庭を築ける。
そう思っていた。
けれど――。
結婚後、夫アーヴィンが求めていたのは、エレノア自身ではなかった。
ベルフォード商会の資金。
父の信用。
商会との繋がり。
そして彼には、愛する別の女性がいた。
「エレノアには、まだ知られたくないんだ」
その言葉を聞いたとき。
エレノアはようやく気づく。
自分が愛されていると思っていた結婚は、最初から愛だけで結ばれたものではなかったのだと。
「……もう、いいわ」
「私、離婚する」
そう決めたエレノアは、伯爵夫人という立場を捨て、ベルフォード家へ帰る。
そして再び、父が築き上げたベルフォード商会の仕事へ。
自分が好きだった商売に戻り、今度は自分自身の力で未来を切り開いていく。
隣国との新たな取引。
広がっていく商会。
少しずつ取り戻していく、自分らしい人生。
そしてその先で――。
エレノアは、ひとりの商人と出会う。
身分も、過去も、肩書きも関係ない。
ただ「エレノア」という一人の女性を見つめてくれる男と。
これは、誰かの妻としてではなく。
自分の人生を選んだ一人の女性が、本当の愛を見つける物語。