あらすじ
どんな毒も一舐めで言い当てる。そんな特技のせいで、芍薬(しゃくやく)は後宮の片隅、医局付きの「毒見女官」という因果な役目を押しつけられていた。薬より金、証拠より銭勘定――変人扱いされながらも、それなりに気楽な奉公生活のはずだった。
ある晩、彼女は妃の一人・董貴妃の寝所に呼び出される。そこで見たのは、白目を剥いて倒れた貴妃と、「顔がそっくりだから」という理由だけで身代わりを命じてくる宦官の笑みだった。断れば貴妃の失脚、頷けば露見した瞬間に不敬の罪で首が飛ぶ。
――しかし、法外な報酬と聞いて、芍薬の算盤は勝手に弾かれてしまうのだった。
毒に詳しいだけの女官が、いつの間にか妃として後宮の頂点に立たされる。謎の失神事件の真相を追いながら、化けの皮が剥がれる前に真犯人を突き止められるか。金と毒と身代わりの後宮ミステリー、開幕。