あらすじ
人の心は、たった一言で完全に冷え切る。 誰かの役に立つことだけが、自らの存在理由だった。
そう信じて身を削り続けた日々の果てに、彼女は暗い夜道へ置き去りにされた。
反省しろと告げる背中を前に、流す涙は一滴も残っていなかった。 彼女はその場で靴のヒールを折り、二度と拾われない場所へ歩き出す。
泥の中に婚約の証を突き刺し、国境を越える深夜の定期便へと飛び乗った。
朝が訪れ、もぬけの殻の道端に取り残された男は何を失ったと知るのだろうか。 逃げ延びた凍てつく異郷で、ある男が彼女の冷えた手を取る。
道具として生きてきた彼女は、二度と戻らない道の先で何を見つけるのだろうか。