あらすじ
霊峰の麓。
人間が滅多に近づかないその場所で、最強の龍・ヴェルフェウスは一人の赤ん坊を拾った。
理由は、ただの気まぐれ。
そうして拾われた少年――ジークは、ヴェルフェウスに育てられ、十五歳になった。
人間、エルフ、ドワーフ、獣人。
世界には、自分がまだ会ったことのない様々な種族がいる。
巨大な都市。
広大な海。
果てしない砂漠。
古代文明の遺跡。
未知の迷宮。
ヴェルフェウスから聞かされてきた世界の話は、ジークの好奇心を少しずつ膨らませていった。
「俺、旅に出たい」
目的はない。
世界を救う使命もない。
倒すべき魔王もいない。
ただ――自分の目で世界を見てみたい。
旅立つジークにヴェルフェウスが贈ったのは、一枚の鱗で作られたペンダント。
特別な力など何もない。
それでもジークにとっては、大切な家族からもらった唯一の贈り物だった。
これは、最強の龍に育てられた少年が、
知らない世界を見て、知らない人々と出会い、
時には強大な存在と戦いながら、
自分だけの旅を楽しむ物語。
――龍の鱗を胸に、少年は世界へ旅立つ。