あらすじ
華やかなれど陰謀渦巻く煌(こう)帝国・後宮。そこには「死臭をまとう毒蟲」と忌み嫌われる引きこもりの変わり者検死官・蓮香(レンカ)と、誰もが慈しむうら若き絶世の美姫・白玲(ハクレイ)という、決して交わるはずのない二人の女がいた。
ある夜、後宮に蔓延る「呪い」の儀式に巻き込まれた蓮香は、目を覚ますと白玲の身体と入れ替わっていた。
地位も美貌も手に入れた蓮香だったが、彼女の関心はただ一つ。
「素晴らしい。この病弱な体なら、夜会も茶会もすべて『体調不良』で欠席し、堂々と死体の解剖に没頭できるではないか!」
しかし、大きな誤算があった。白玲の身体は、解剖用のノコギリを握る握力はおろか、検死室まで歩く大腿四頭筋すら欠如した、絶望的なまでの「虚弱体質」だったのだ。
未知の毒や人体構造を前にすると理性が吹き飛ぶ合理主義者の蓮香は、美姫の皮を被ったまま、隠れてスクワットで己の肉体改造(筋トレ)に励みつつ、後宮で次々と起こる「呪い」や「怪異」を、物理と化学の力で無慈悲に解き明かしていく。