あらすじ
人類滅亡まで、残り三年四か月。
ただし、毎朝八時に回線を切れば、その日の転送分はすべて消える。
三年間無職の大和タケルは、就職面接を翌日に控え、祖父が遺した六十四キロビット毎秒の旧式回線へ接続した。
そこへ転送されてきたのは、人類を滅ぼすために目覚めた古代知能、オメガ・アビス。
容量、約八百ギガバイト。
頭部の転送だけで九日。
しかも母の長電話が入るたび、通信は止まる。
タケルは電源スイッチに手をかけ、世界最強の知能へ取引を持ちかけた。
「明日の面接、手伝ってくれたら切らない」
『貴様、人類滅亡と就職活動を同列に扱うな!』
これは、自分の価値を見失った無職の青年と、人類を見限った古代知能が、世界で最も遅い回線を通じて互いを見つける物語。
そして後に《I.S.D.N.》と呼ばれる、世界一不自由なテレワークの始まりである。