あらすじ
東京湾の臨海低地帯に建つ、築四十年の木造アパート『汐見荘』。明日に退去立ち会いを控えた深夜、久保創と妹の未央は、壁に残された謎の落書きをドライアイスの冷気を使って消し去ろうとしていた。
折しも夜空には、地球へ異常接近したスーパームーンが青白く輝き、不気味な気圧降下とともに潮位を押し上げていた。
そこへ突如、深夜にもかかわらず「現況確認」と称する査定員・御巫が訪れる。男は消されたはずの痕跡を紫外線ライトで照らし出し、この部屋の真下に眠る恐るべき秘密と、失踪した元同居人の行方を突きつける。逃げ場のない密室で、満ち潮の轟音とともに、冷気と引力が織りなす極限の頭脳戦が幕を開ける。