あらすじ
二十七歳、入社五年目の雨宮朔は、仕事も家事もそつなくこなす、静かな青年。
何を頼まれても「大丈夫です」と答え、自分のことより周りを優先する。
一人でいることにも慣れていて、誰かに頼る必要なんてないと思っていた。
そんな朔を、なぜか目で追うようになったのが、同じ部署の先輩・葉山尚也だった。
明るく人当たりのいい尚也は、誰とでもすぐに仲良くなれる。
けれど、朔とはなかなか距離が縮まらない。
ある昼休み、尚也は朔の弁当をきっかけに、彼が魚好きだと知る。
そして、同期の高瀬俊輔と楽しそうに笑う朔を見て、初めて気づく。
――自分は、朔のことを何も知らない。
料理と食卓をきっかけに、少しずつ近づいていく二人。
「何でもいい」と言うことが当たり前だった朔が、誰かを大切に思い、自分の気持ちを言葉にできるようになるまで。
これは、一人分だった食卓が、いつか二人分になっていくまでの物語。