あらすじ

中国の伝説「枕慈童」を下敷きに描く、菊の節句の幻想BL短編。

秋。帝の命を受けた役人・甲は、人が踏み入らぬと言われる深山へと分け入った。目的は、山中の沢に湧き出たという霊水の源を探し出すこと。しかし鬱蒼とした木々をかき分け、霧の奥へ奥へと進むうちに、甲はある甘い香りに気づく。

それに誘われるようにたどり着いたのは、霧の中にぽっかりと開けた菊の花園。黄、白、赤——色とりどりの菊がひしめき合うその場所に、ひとりの少年が立っていた。

白磁のような肌、桃の花のごとき頬、鈴のように澄んだ声。この世の者とは思えぬ美しさを持つその少年は、静かに微笑みながら言った。

「ここにはざっと七百年。菊の花に囲まれて暮らしておりました」

七百年。少年はなぜ、この山にいるのか。霊水の正体とは何か。そして少年が今も大切に抱えている、翡翠の枕に秘められた想いとは——。

菊の香り満ちる庵で、甲は少年・慈童の語る七百年の歳月に、ただ静かに耳を傾ける。

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アルファポリス
アルファポリス2026/09/09
  • 現在の作品菊慈童