あらすじ
小さな島で暮らす少女イリスには、毎日やらなければならない仕事がある。
島を巡る”値”を見守り、高くなれば自分の声を届ける。
そうすれば、値はいつも元に戻っていた。
幼馴染のルカは、そんなイリスとは正反対だ。
昼間はいつも眠そうで、イリスが忙しくしている横で平気な顔をして寝ている。
少なくとも、イリスはそう思っていた。
ある午前3時。
ふと目を覚まして外に出たイリスは、みんなが寝静まった夜の島で、一人働くルカを見つける。
昼間はあれほど眠そうにしている彼が、自分とは違うやり方で”値”を見守っていた。
自分が知らないだけで、この島にはまだ知らない仕事がある。
それに気づいてから、イリスには今までと同じ景色が少しずつ違って見えるようになっていく。
島の外を流れる大きな川。
西にある巨大な倉庫。
遠くから届く、限られた人にしか聞こえない声。
島を出れば、イリスの知らない場所と、知らない人たちがいる。
そこで見たものは、やがてイリスが当たり前だと思っていた島の暮らしまで、少しづつ違って見せていく。
なぜなのかは、まだ分からない。
知らなかった場所へ行き、そこで暮らす人と出会いながら、イリスは少しずつ、自分が住んでいる世界のことを知っていく。
これは、小さな島で暮らしていた少女が、その外にある世界を知っていく物語。
そして、知ったことで、それまで見えていたものの意味が少しずつ変わっていく物語。