あらすじ
聖騎士スタン・カルティエを殺せ。
白髪と赤眼を持つ暗殺者カガンが受けたのは、それだけの依頼だった。標的はイェレミア王国騎士団長。民を守り、異形を討ち、人々から「聖騎士」と称えられる男。善人だろうが悪人だろうが、カガンには関係ない。殺して、報酬を受け取る。それで終わるはずだった。だが、暗殺を決行しようとした夜、王都の空が裂けた。
千年前に倒された魔王の呪いとされる怪物――「異形」が王都へ降り注ぐ中、カガンは奇妙な異変に襲われる。
スタンから離れるほど、胸が痛む。
理由を確かめるため戦場へ向かったカガンは、やがてスタンと接触する。
その瞬間、二人の鼓動が重なった。
燃え尽きた街。巨大な魔術式。見知らぬ人々の祈りと憎しみ。そして、自分たちによく似た二人の人影。
その記憶が流れ込んだ直後、王都を襲っていた異形は一斉に灰となった。
なぜ、二人は同じものを見たのか。
なぜ、互いから離れることができないのか。
そしてなぜ、異形は死の間際に人の言葉を口にするのか。
答えを求める二人は、やがて千年前の魔王討伐に隠された真実へ近付いていく。
英雄が魔王を倒したという歴史は、嘘ではない。
魔王が世界を滅ぼそうとしたことも、嘘ではない。
ただ一つ、人類は知らなかった。
なぜ魔王が生まれたのかを。