あらすじ
目を覚ますと、そこは見知らぬダンジョンだった。
与えられたのは、たった数部屋の小さな領地とダンジョンコア。
そして告げられたのは――数万人のダンジョンマスター候補による、生き残りを懸けたバトルロイヤル。
現代日本から放り込まれた|大隅 詩《おおすみ うたや》に、英雄のような力はない。
剣の達人でもなければ、大魔法を撃てるわけでもない。
ただ一つ、彼に与えられた固有能力は《|勝者特権《しょうしゃとっけん》》。
戦いに勝利するたび、提示される三つの報酬。
領地、施設、資源、強力な装備――そして、極めて希少な種族。
選べるのは、たった一つ。
「いや待て。全部欲しいんだけど?」
そんな詩のもとに、規格外の魔力を持つのに、なぜか日常生活では致命的にドジな|星霊族《せいれいぞく》をはじめ、とんでもなく強い希少種族たちが集まり始める。
敵を一撃で消し飛ばすほど強いのに、料理をすれば厨房を半壊させる。
未来を見通せるほど賢いのに、肝心なところで話を聞いていない。
不死身のはずなのに、毎朝の寝起きだけは誰よりも悪い。
ただし――強い奴ほど、なぜか問題児。
本人の戦闘力はそこそこ。
仲間は化け物。
領地は少しずつ巨大化。
そして勝つたび、また魅力的すぎる三択がやってくる。
「この報酬、どれを選んでも得じゃないか?」
「マスター、全部選べばいいのでは?」
「選べないから困ってるんだよ!」
戦いの合間には、仲間たちとの食事や騒がしい日常が待っている。
だが、ほのぼのした時間の直後に、仲間の誰かが敵軍を壊滅させることもある。
正々堂々?
そんなものは生き残ってから考えればいい。
罠を張り、敵を騙し、地形を利用し、強すぎる仲間たちをどうにかまとめ上げる。
ただし、まとめ上げたと思った次の瞬間には、誰かが勝手に新しい施設を建て、誰かが敵の本拠地を吹き飛ばし、誰かが「褒めてください」と詩の隣で胸を張っている。
これは「損をするのが嫌い」な一人の青年が、勝利するたびに仲間と領地を増やし――
笑って、騒いで、ときどき命懸けで戦いながら、いつしか巨大ダンジョン世界そのものを揺るがす勢力へ成長していく物語。