あらすじ

代々、未来を予知する「星詠みの聖女」を輩出してきたアルディール侯爵家。 その一人娘セレナは、幼い頃から聖女候補として厳しい教育を受け、第二王子ユリウスの婚約者として王国に尽くしてきた。しかし、七度の儀式を経ても、彼女に未来を予知する力が発現することはなかった。 そんな中、未来を予言できるという子爵令嬢エミリアが現れる。 嵐や使節の到着、王妃の病を言い当てたエミリアは、本物の聖女として人々の信頼を集めていく。一方のセレナは、嫉妬深い偽物と見なされ、ついには神殿でユリウスから婚約解消を宣言されてしまう。 さらに侯爵家は、聖女を偽った責任を問われ、爵位と領地を取り上げられたうえで国外追放を命じられる。 けれど、セレナは泣きもせず、静かにその処分を受け入れた。 なぜなら彼女には、未来を見る力とは異なる能力があったからだ。 それは、石や大地に刻まれた記憶を読み、地中で起きている異変を感じ取る力。 セレナはすでに、王都の地下水路と地盤が崩壊寸前であり、わずか三日後に未曽有の災害が起きると察知していた。 彼女は何度も調査と避難を願い出た。しかしユリウスはその警告を笑い、調査を打ち切る。そればかりか、エミリアの「黄金の星が王国に千年の繁栄をもたらす」という予言を信じ、災害当日に盛大な祝祭を開こうとしていた。 王国全体を救うことができないのなら、せめて自領の民だけでも救う。 そう決意したセレナは、国外追放を利用して侯爵家と領民を避難させる。そして道中の町や村にも警告を残しながら、滅びゆく王都を静かに去っていく。 やがて迎えた予言の日。 王都を包んだ黄金の光の正体は、繁栄を告げる星ではなかった。 崩壊する大地が巻き上げた、巨大な砂じんだったのである。 未来を予言した聖女が何もできず、王子や貴族たちが混乱する中、民を救うために戻ってきたのは、偽物として追放されたセレナだった。 これは奇跡ではなく、知識と備えによって人々を救った侯爵令嬢が、自分を信じなかった王国を見限り、新天地で本当の幸福を築く物語。

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小説を読もう2026/09/10
  • 現在の作品未来が見えない侯爵令嬢は、滅びゆく王都を静かに去る