あらすじ
南方共和国アルカディアには、二百年前の建国から一度も退任していない男がいた。
名前を持たず、「九人目の初代大統領」や「永遠の建国者」と呼ばれる彼は、歴代大統領を超える権力を握り、二百年分の報酬を受け取り続けているという。
調査に訪れた歴史家エミリアは、建国記録に彼の功績が残されていないことに気づく。
さらに調べると、歴代大統領の署名は魔術で書き換えられ、共和国は百二十年間も偽りの非常事態によって支配されていた。
男の正体は、八人の仲間と交わした共同宣言を破り、名を失った九人目の建国者ルシアン。
彼は不老の祝福を受けたのではなく、自ら破った約束によって死ぬことさえできなくなっていたのだ。
「建国者であることと、国を私物化する権利は別です」
一人で共和国を作ったと主張する男へ突きつけられたのは、奪った権力の返還と一千九百四十四万金貨の請求書。
これは、自分だけが英雄になろうとした永遠の建国者から、国民が共和国と歴史を取り戻す痛快政治ざまぁファンタジー。