あらすじ
――歴史とは、一本の道なのだろうか。
私たちは、自分たちの世界しか知らない。だから、歴史は一つしかないと思っている
では、もし――大航海時代が五百年遅れていたら?
もし、近代国家への移行が進まず、王朝と帝国が二十一世紀まで生き残っていたら?
そして、歴史は始まる。
二〇七〇年。
大航海時代が五百年遅れた世界では、いまだ王朝と帝国が世界を支配していた。
ドイツでは、ハプスブルクの君主が二〇三九年に国家を統一。
その勢いのまま軍備を拡張し、海外へ進出した。
だが、その膨張は周囲の列強との対立を生んだ。
西にはフランスとオランダ。
海にはイギリス。
南にはスペイン。
そして東には、巨大な陸軍を擁するロシア帝国。
やがて欧州を覆った緊張は、一つの戦争へと変わった。
ドイツ士官候補生エリアスは、数々の出会い、数多の戦場と交錯し、歴史に抗 っていくことになる。
これはもう一つの、私たちが出会うことのない、ささやかな歴史なのだ。