あらすじ
魔力さえあれば、素材を別のものへ変えられる――そんな錬金術が存在する世界。
子供が生まれたことをきっかけに危険な冒険者生活を引退した元魔導師マードックは、家族と安全に暮らすため錬金術師へ転向した。
ところが、実際に錬金術を使ってみて気付いてしまう。
「……これ、割に合わなくないか?」
高価なものを作ろうとすれば、高価な素材と大量の魔力が必要になる。
それなら最初から買った方が早い。
だったら――錬金窯そのものを改良すればいい。
魔石をつないで魔力を節約。
余ったものは再利用。
料理を作り、家具を作り、ついには家まで作り始める。
本人はただ、楽をしたかっただけだった。
「ちゃんと代価は払ってますよ。効率化しただけです」
「屁理屈をこねおって!」
神に呆れられながらも、マードックの錬金窯は少しずつ巨大になり、人を巻き込み、やがて町のものづくりそのものを変えていく。
そして技術が進み続けた先で、彼らは一つの問いにたどり着く。
――作れるものは、本当に作っていいものなのか。
これは、楽をするためなら努力を惜しまない一人の男が、
錬金術を「魔法」から「技術」へ変えていく物語。