あらすじ
最近、弾き語りをする人たちと交流するようになった。
私の歌を「個性的だ」「面白い」と言ってくれる人はいる。
ありがたい。
だが、小説は読んでくれない。
同じ人間が作った歌なのだから、その個性の出どころとして小説にも少しくらい興味を持ってくれてもいいのではないか――そう思っていた。
しかし考えてみれば、歌と小説では入口そのものが違う。
歌は声、メロディ、リズムによって、言葉の意味さえ越えて届く。
小説は、まず文字を読んでもらわなければ始まらない。
小説を題材に歌を作っても、それは入口ではなく、もう一つの完成した歌になってしまう。
理屈は分かった。
納得した。
それでも、小説も読んでほしい。
納得と未練は両立する。