あらすじ
遠州・秋葉の山深くで起きた、幼い男児の行方不明事件。山岳捜索隊として現場に立った警察官・石破琴音は、胸の奥で騒ぐ「鴉天狗」の異能をあえて封じ、ただ一人の人間としての足と目で救出に向かう。しかし夜の闇と悪天候により捜索は中断。無念を抱えて引き返す途上、崩落した崖下へ転落してしまう。
深い夜霧の底で目覚めた琴音が目にしたのは、古き神域と、迷子の命を温かな羽で守り続けていた山の主・大天狗の威容だった。「人の誇り」を捨てずに泥を這った琴音の覚悟を見届けた大天狗は、彼女の身の内に眠る眷属へと一喝を放つ――。警察官の矜持と神仏の慈悲が交差する、『最後の仕事』番外編・琴音の救済譚。