あらすじ
王都最大手の装備商会《グランドル》へ転職した整備士ラルフ。入社初日、教育係から渡されたのは、厚手の靴下と三つの魔石だった。
「客の剣を叩け。金槌だと跡が残るから」
会社が求めるのは、一件あたり粗利銀貨十四枚。研ぎ直しなら四枚で済む剣をわざと壊し、高額な刃交換へ持ち込む。それが店では当たり前になっていた。
だがラルフがグランドルへ入ったのには理由がある。
七年前。育ての親が遺した形見の剣をこの店へ預けた翌日、突然「内部亀裂が見つかった」と告げられ、柄も鍔もすべて交換されていた。
あの剣も、同じ方法で壊されたのではないか。
ラルフは記録魔石を仕込み、社内の不正を集め始める。
「銀貨三枚で直る剣を、どうやったら十四枚にするんです?」
数字だけを追い続けた巨大装備商会と、一人の整備士の内部告発を描く、異世界お仕事ざまぁ短編。