あらすじ
「どうして、大人は私の気持ちを勝手に決めるの?」
図書館で出会った青年・天黄道慧太郎と、哲学について語り合う少女・一六立揺花里。
二人は毎週のように言葉を交わし、やがて揺花里は慧太郎を「恋人」と呼ぶようになる。
けれど、大人たちはその関係を「恋」とは呼ばなかった。
未成年者の意思。
保護。
正義。
倫理。
心理。
揺花里が「自分で選んだ」と叫ぶほど、彼女の言葉は「本人には理解できていない」と解釈されていく。
そして慧太郎は、五年の刑に服すことになる。
――五年後。
成人した揺花里は、再び慧太郎の前に立つ。
五年間、彼女は何度も自分の気持ちを疑った。
壊れて、自分を見失い、それでも自分の足で生きながら、少しずつ自分を取り戻していった。
そして最後に残ったものは、たった一つだった。
昔も、今も。
私は、慧太郎が好き。
ならば今度は、誰にも決めさせない。
「あなたは?」
過去の罪か。
依存か。
倫理か。
社会正義か。
そんなものは、昔はあった。
――では、今は?
自分の気持ちを、自分の言葉で語るために。
これは、「正しい答え」を探す物語ではない。
一人の人間が、自分の意思を取り戻すまでの五年間と、その先の物語。