あらすじ

夫の水沢恭平が何より嫌うものは、「汚いもの」だった。 床に落ちたものは捨てる。誰かが自分の物に触れれば、できることなら買い替える。 三日続けて徹夜をしたあの日もそうだった。帰宅した私は、せめて五分だけソファに座りたかったのに、恭平はそれを許さなかった。 「先にシャワー浴びて」 ところが、その十分後。 恭平が白凪医科大学で指導している医学部六年生、小宮山杏奈がやってきた。 杏奈は慣れた様子で、私には触ることすら許されていなかった恭平のスリッパを履いた。 恭平は何も言わなかった。 「杏奈、オレンジジュースでいい? 氷なしで」 しかも、自分がいつも使っているグラスまで差し出した。 浴室の前に立ったまま、ようやく分かった。 彼が嫌っていたのは、汚れではない。 私だったのだ。 十年以上も一緒にいて、私もようやく彼のルールを覚えた。 汚れてしまったものは、捨てればいい。

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小説を読もう2026/09/09
  • 現在の作品潔癖症の夫に「汚い」と嫌われた私――最後にみんなから避けられたのは夫のほうでした