あらすじ
「ミレイユ・レオンハート。君との婚約を破棄する」
酸性雨が天蓋を叩く夜会で、王太子アルベリクは高らかに宣言した。「街の浄化など、誰にでもできる雑務だろう」と嘲笑しながら。
しかし、彼らは知らない。毎晩、魔石炉が吐き出す魔素の煤を中和し、下層区の子どもたちの肺を守っていたのが、ミレイユのギフト『反転(アンチテーゼ)』ただ一つだったことを。
前世は、公害と酸性雨に沈む都市の浄化技術に生涯を懸けた研究者。だからこそ彼女は、この王都ネブロスの危うさを誰よりも理解していた。
「治癒ギフトで酸性雨が中和できるわけがない。化学を、舐めているのかしら」
喚くことも縋ることもなく、ミレイユは浄化の魔導契約書を新たな聖女に差し出し、指輪を置いて去っていく。
「次の酸性雨の季節は――三日後です」
浄化魔法を持って王都を後にした彼女が向かうのは、綺麗な空気を求める辺境の地。そこで、前世の知識と『反転』の力を武器に、新たな伝説が静かに幕を開ける。
一方、聖女を失った王都に、月に一度の最も酸性度の高い雨が近づいていた――。
化学×錬金の知識でざまぁと再起を描く、痛快ざまぁファンタジー!