あらすじ
「僕より身分の低い男がお似合いだ」
婚約破棄の最後に、侯爵令息はそう言った。
私に、自分以上の相手が見つかるはずがないと笑いながら。
では、平民の大魔法使いに求婚します。
爵位なし。家柄なし。お茶菓子は端から食べたがる。
けれど私の話を途中で遮らず、困っている人には自分で手を貸す、王都でいちばん気の合う人。
彼は目を丸くしてから、二人分の茶器を取り出した。
「まずは、恋人からでもいいかい。君に格好をつける練習がしたい」
翌朝、元婚約者が魔法の講義へやって来た。
私を見て笑いかけ、隣に座る人を見て直立する。
「せ、先生。なぜ彼女と」
「私の恋人だから。挨拶は二人にしてくれるかな」
元婚約者は知らなかったらしい。
身分の低い人と結婚することと、彼より下になることは、同じではない。
なお、先生は私の前だと、褒められるまで小さな花の魔法を繰り返す。
そんなところも、とても好きなんです。