あらすじ
二十歳の伯爵令嬢リリア・エルマンには、目を合わせた相手の心の声が聞こえるという秘密がある。
他人の嘘や悪意に触れ続け、人を信じられなくなったリリア。しかし、その力でも、没落寸前の実家が抱える借金は解決できなかった。
年の離れた侯爵との結婚を迫られていた彼女のもとへ、冷酷公爵アルベルト・グレイスから招待状が届く。
アルベルトが持ちかけたのは、借金を全額肩代わりする代わりに、一年間だけ妻を演じてほしいという契約だった。
「君を愛するつもりはない」
冷たく告げるアルベルトだったが、リリアにはその本音が聞こえていた。
《怖がらせてしまっただろうか》
《断られたくない》
《……やはり、かわいい》
表情と心の声がまるで一致しない公爵に戸惑いながら、リリアは能力を隠して偽装結婚を受け入れる。
しかし、アルベルトが感情を表に出さないのには、魔力を暴走させる呪いが関係していた。
心が読める妻と、思いを言葉にできない夫。
二人の偽りの結婚は、やがて王国を揺るがす陰謀と、本当の恋へつながっていく。