あらすじ
王国最北端、ヴァルデン地方。かつて都市ルーエンと山間の村を襲った怪異の事件からしばらく後、アベルは軍所属の調査官として、不可解な事件や古い記録を調べていた。村とルーエンでは今も、祈り所へ毎日二人分の食事が供えられている。それ以降、怪異による死者は出ていない。しかし、敵国である帝国でも夜中に扉を叩く音や、不審な死にまつわる噂が広がり始めていた。
そんな中、ルーエンで保護されていた少女リーナが、軍の管理する祈り所へ入り込む。そこで彼女が出会ったのは、百年以上にわたり「食卓を守る神」として恐れられてきた男だった。リーナは男と絵の話をし、昔のことを語り、やがて男はこれまでとは違う行動を見せ始める。一方、その男のそばには、時折ひとりの老女の姿が現れる。百年以上続いてきた怪異に、今になって何が起きているのか。そして、調査と男の変化から浮かび上がってくる、母と息子の関係とは。異世界を舞台にした、毒親と家族の支配を描く怪異ホラー。