あらすじ
主人公、星宮芹(ほしみやせり)は不眠症持ちの女子高校生。日々悪夢に悩まされ健康とは言い難い生活を送っている。何事も自分一人でなんとかしようとする癖のある彼女は、父親の転勤をきっかけに、叔父である土御門晴助(つちみかどはるすけ)の家へと居候することになる。
晴助のとっつきやすい性格もあり、居候生活は驚くほど快適で順調に進んでいた。ただ、一つだけ不審な点があった。晴助は日中もほぼ毎日家におり、働いている姿を見たことがなかったのだ。だというのに財布の紐は緩く、広い戸建てに一人で暮らし、生活も困窮している様子はない。
そんな彼の正体は、オカルト専門の「なんでも屋」を営む店主であり、異能を操る現代の陰陽師であった。晴助のもとへは人・妖問わず様々な依頼人が訪ねてくる。
第一の依頼は「鍵探し」。依頼人の男が「宝箱の鍵を探してほしい」と訪ねてくる。男の亡き妻が遺した「宝箱」の鍵を見つけるべく、晴助は芹を連れて彼の住まいへと探索に出る。二人の目の前に現れたのは不思議なからくり箱だった。三人は手分けをして箱の鍵を探し、箱の天板に施されたダイヤルの謎を解くべく奮闘する。
終ぞ開いた箱の中には、依頼人夫婦の思い出が様々な形で残されていた。
「なんでも屋」に舞い込んでくる依頼は、御守り製作や曰く付き呪物の封印など実に様々。
自分の目にしたものしか信じない質である芹は、当然オカルトの類いなんて信じていなかった。けれど依頼に同行した先で目の当たりにする摩訶不思議な光景や現象、妖怪に怪異といった非日常。そして陰陽師という存在に触れ、日常と隣り合わせにあるもう一つの世界の存在を認めざるを得なくなる。
第二の依頼では、一人の女が「もう一度会いたいひとがいる」となんでも屋を訪ねてくる。
会いたいひととは、人間ではなく妖のことだった。ところが晴助はその依頼を断り、あまつさえ、会いたいと望むこと自体を諦めるよう辛辣な言葉を告げる。
予想外の対応に芹は食い下がるも、晴助は引き受けないの一点張りだった。
芹は依頼人から詳しい事情を聞き、彼女の妖を想う気持ちに触れ心動かされる。どうにかして力になりたいと思い、芹は知らずのうちに陰陽師の規律に反する行動を取ってしまう。そして不幸にも依頼者を傷つけてしまう結果に終わる。また、違反の罰として叔父である晴助が処分を受ける事態に発展してしまった。これにより、なんでも屋は一時休業。芹は酷い罪悪感に苛まれ、呼応するように昔から悩まされていた不眠症が悪化してしまう。
この不眠は幼い頃に怪異から受けた呪いが原因であった。薄暗い蔵の中、何者かに組み敷かれ、閉じ込められる夢。逃げようとする足が鉛のように重たくなって自由が利かなくなる。やがて最後には暗闇に呑まれていく。そんな夢に魘される日々が続いていた。ついには悪夢が現実となり、芹はその怪異によって攫われてしまう。
芹救出のために動き出す晴助だったが、幼い頃から確執のある兄や、混乱に乗じて晴助を暗殺しようとする陰陽師たちが立ちはだかる。
連れ去られた先で芹は、なぜ悪夢を見るようになったのか、その発端となった呪いの意味や、怪異が自分に執着する理由が明らかとなる。
芹は幼い頃に怪異と面識があり、呪いもすべて芹のために施されたものだった。すべてを知った芹は、呪いの進行によって自身の命も危ないという中で、怪異を助けてほしいと願い晴助を初めて頼る。
奮闘の末呪いは解かれ、芹も怪異も無事に救出される。