あらすじ
一五六〇年、織田信長の妹・市は、北近江の浅井長政へ嫁いだ。
美しく、気高く、誰からも好かれる織田の姫。だが、市が望んでいたのは、穏やかな暮らしではない。
強い相手との、次の戦だった。
市に一目で心を奪われた長政は、妻を止めたい。死なせたくない。けれど、戦から戻った市の得意げな顔を見ると、どうしても止めきれない。
市が「出る」と言えば、長政は兵を集め、食わせ、道を開き、敵が崩れる形をつくる。そんな夫の働きを、市はほとんど知らないまま、今日も先頭で敵陣へ駆けていく。
戦場しか見ない妻と、戦場の外をすべて引き受ける夫。
これは、戦がしたくて仕方がないお市と、そんな嫁がかわいくて仕方がない浅井長政の、少しおかしな戦国夫婦譚。
※史実上の人物・出来事を題材にしたフィクションです。独自解釈および史実と異なる展開を含みます。