あらすじ
散々な人生だった。
信じれば裏切られ、手を差し伸べれば踏みにじられ、助けを求めても誰も救ってはくれなかった。
そんな人生の果てに、青年は死んだ。
――そして、目を覚ました。
そこにあったのは、生前とはまるで違う身体。
人の姿を失い、異形の力を宿した死者――「亡骸」。
亡骸には、その力に応じた位階が存在する。
青年に与えられた位階は、
零位《無銘》
最上位すら超え、記録上も前例のない存在。
名すら持たない、ただの亡骸。
それでも彼は、人間を憎みきることができなかった。
かつての自分と同じように、理不尽に苦しむ人々を見つけるたびに、彼は陰から手を差し伸べる。
虐げられる者を救い、奪われる者を取り戻し、誰にも裁けない理不尽を喰らっていく。
やがて、人々はその正体を知らぬまま、彼を一つの名で呼び始める。
「夜喰」
人を喰らう怪物ではない。
人を苦しめる“理不尽”を喰らう亡骸。
そして、名を与えられたその瞬間――
零位《無銘》は、零位《夜喰》となる。
英雄にはならない。
救世主とも名乗らない。
ただ、かつて自分が救われなかったからこそ。
これは、異形になった彼が復讐を果たす物語。