あらすじ

カルバーブ王国の第二王子アシャンは十六歳。双子の兄が王位を継いだため、自らは神官として生きるはずだった。だが夏至の「神降ろし」の夜、叔父と南方勢力による政変が起こり、兄王は殺害される。兄の「力」とわずかな意識の残滓を宿したアシャンは、交易商ダルガンと宝石商ナディラに助けられて国外へ逃亡。書物の都サルマーンで働きながら古代の聖王アルダーンと「星環」を調べ、解体屋ファルハードとともに死の星環が映す兄の最期を見る。狂王として自害したという公式発表が嘘だと知ったアシャンは、兄の名誉を取り戻すため帰国を決意する。老将ヴァルダーンや仲間たちと「盟約の騎士団」を興し、王国を奪還。翌年、王として即位する。 十九歳になったアシャンは母の祖国パルキアを訪れ、王女ロクサネと出会う。そこで発見されたのは、アルダーンが自らの戦争を何度も追体験し、失敗を学び直すために使った「知の岩」だった。しかし千年を経た岩は死の星環との接触で異常を起こし、過去の記憶へ人々を呑み込む。ロクサネの父である学者王子らを失いながら事件を生き延びたアシャンは、ロクサネと結婚する。 二十五歳。夫となり父となったアシャンは、ザルカドで「追憶の水面」を発見する。そこで兄、父、母、そしてアルダーンと最後の言葉を交わし、死者に答えを求める生き方から離れていく。一方、古代の水利施設の異変からカルバーブとマウリンカを襲う水危機が発生。さらに知の岩からアルダーン時代の軍勢の記憶が現実へ溢れ出す。アシャンはそれを敵として倒すのではなく、「過去」として水へ還し、空になった知の岩を破壊する。 過去を取り戻し、過去を知り、最後に過去を手放したアシャン。死者が知らない続きを作るのは、生きている者たちである。故国へ帰った彼は、妻と子、そして今を生きる人々の未来へ歩き出す。

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小説を読もう2026/09/09
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